『侠客行(二) 闇からの使者』『侠客行(三) 侠客島の秘密』

侠客行〈2〉闇からの使者 (徳間文庫)

侠客行〈2〉闇からの使者 (徳間文庫)

侠客行〈3〉侠客島の秘密―金庸武侠小説集 (徳間文庫)

侠客行〈3〉侠客島の秘密―金庸武侠小説集 (徳間文庫)

 いろいろな伏線が消化されたかと思ったら、最後がすっきりしない終わり方で消化不良。バトル要素も恋愛要素も主人公の成長ものとしても十分とは言えず、最後まで主人公が状況にふりまわされて迷走しているだけでもの足りなかった。他の登場人物も腕自慢のわがままタイプか、あるいはそれなりに礼儀正しくてもプライドを傷つけられるとすぐ怒り出すようなタイプで底が浅く見えてしまっていまいち好感が持ちづらかった。ヒロイン二人もあまり魅力が感じられなかったなあ(丁璫は人違いとわかるやあっさり態度を変え、それだけならまだしも罠にかけて利用しようとする始末で、待剣を殺したあたりはさすがに気分が悪くなったし、阿繡はそもそも印象が薄く、石中玉を殺してと頼むあたりはやはり気分が悪くなった。そりゃ乱暴されかけて自殺未遂にまで追い込まれたのだから殺してやりたいと思うのは無理もないが、それを惚れた男にやらせようというあたりはどうも好きになれん)。
 とはいえ、ひさびさに夢中になって読んだほどなので楽しめなかったわけではないのだが。とりあえず不満な部分はこの作者の他の作品に期待しよう。