ボトルネック

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あらすじから想像していた通り、ある意味この上なく残酷な話だった。作者はこの主人公に恨みでもあるのかってくらい(さすがにちょっと何でもかんでも姉の方が上手くいき過ぎな気もするし)。自分が産まれなかったパラレルワールドにきてしまったという面白そうなちょっとした不思議現象からこういう話を展開できるのだからやっぱりこの作者はすげえ。ミステリ要素はこの作者の作品の中で一番薄い印象。今までどうにもできないとあきらめて何もしようとしてこなかった少年が、そうやってあきらめてきたがゆえに失ってしまったものを突きつけられ打ちのめされる話だという点ではたしかに痛々しい青春小説という感じだけど、どちらかというと青春小説というよりも絶望まっしぐらなストーリーで、それゆえある種の破滅願望を満たしてくれる作品といった感じ。