小説・秒速5センチメートル

小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)

小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)

どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。
 新海誠氏ご自身の手による『秒速5センチメートル』の小説版。さすが作品を作った当人だけあって、見事に劇場で観た『秒速5センチメートル』の世界が描かれていた。アニメーション作品では実績を上げていても、小説として作品を出すのはこれが初めてのようなので文章はどうかと思っていたけど、惚れ惚れとするような心に染みる綺麗な文章で素晴らしい。読み終わった後は、映画を見終わった後と同じような気持ちに。作品の性質上決して晴々とした爽快な読後感ではなく、なんだかもやもやしたような感じなんだけど、そういうなんとも言葉にしがたい余韻が残るのがこの作品の良さというか。映画を観た人にも、映画を観てない人にもぜひ読んでみてほしい作品。