遠まわりする雛

遠まわりする雛

遠まわりする雛

 古典部シリーズ第四弾。「やるべきこことなら手短に」「大罪を犯す」「正体見たり」「心あたりのある者は」「あきましておめでとう」「手作りチョコレート事件」表題作「遠まわりする雛」収録。入部直後から春休みまで、高校一年の一年間のエピソードを収録した短編集。古典部シリーズの新作ということで楽しみにしていたのだけど、短編集だからか一つ一つの話が薄味でもの足りなかった。今までの古典部作品を気に入った順番で並べるなら『クドリャフカの順番』>『愚者のエンドロール』>『遠まわりする雛』≧『氷菓』となるかな。短編より長編の方が好みなのかも。
 でもまあ、当然全然楽しめなかったというわけではなく、気に入った短編もあったわけで。良かったのは「正体見たり」「あきましておめでとう」「手作りチョコレート事件」「遠まわりする雛」。「正体見たり」は部活メンバーで温泉旅行というのが楽しそうだったのと、ほどよくミステリが楽しめた。「あきましておめでとう」は千反田とああいう状況に陥ったホータローがうらやましい(笑) 恋愛要素はあまり出さないのかなと思っていたら大きく動いたのが「手作りチョコレート事件」「遠まわりする雛」。「手作りチョコレート事件」はこの作品らしく苦味のある話で良かったな。「遠まわりする雛」ではついに一歩進展があってよかったのだけど、ここで終わりとは……。『クドリャフカ』から『遠まわり』発刊まで二年以上あいだがあいているわけだけど、次の古典部シリーズ新刊はいつなんだ……(そういや小市民シリーズも『夏期』ですごいところで終わって次が出ないままだし)。とにかく早く次の新刊を出してほしいなあ。