彼女はたぶん魔法を使う

彼女はたぶん魔法を使う (創元推理文庫)

彼女はたぶん魔法を使う (創元推理文庫)

 どうしても真相が知りたくなるような魅力的な謎が提示されるわけでもなく、鮮やかな推理も最後のどんでん返しもなくていまいち。この文庫版のあとがきによると、もともと作者はミステリ作家を目指していたわけではなく、初期のころはテレビの二時間ミステリで勉強したというぐらいだからこんなもんか。そういったミステリらしい魅力の代わりにこのシリーズには「事件に絡んでやたらと美女が登場し、揃いも揃ってなんとなく主人公を憎からず思うような展開になる」という特徴があってそのへんがウケたようだけど、個人的には渋い中年タイプかと思った主人公がやたらと女性に調子のいい言葉を連発するようなキャラで魅力半減だった。それにいくら美女が出てきて好意を寄せてこようとも、結局どうこうなったりはしないのだろうなと早い段階で読めてしまって興ざめだったしなあ。