フォセット〜Cafe au Le Ciel Bleu〜

フォセット -Cafe au Le Ciel Bleu-

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「たたかう幼なじみ」

 可もなく不可もなしな内容でしかなくて残念。

獅子身中の虫より腹の虫」

 学園側との対決を描いても今さら感が強いし、学園側もつぐみ寮側もこんな露骨で直接的な行動に出るとは思えないんだけどなあ。オチもいまいちだし、そもそも「こんにゃく」の本質的な魅力はこんな「ぼくらの七日間戦争」的な学園体制側との対決ではないと思うんだが。

「あたしにも、翼をください

 これもいまいち。本編でもバカップル化することはあるけど、なんというか、こういうノリではないと思うんだけどなあ。

「わたしのかけら」

 上手い。これはよくできている。(以下ネタバレ)凛奈シナリオだけではわからない航のかけらの相手がだれかという問題を凛奈が気にするというのはいかにもありえそうなことだし、文化祭終了後〜冬になる前という作中時期だから本編凛奈シナリオの終盤でプレゼントとして合わせ石を贈ることにも上手くつながっている。かといって話の流れ的にこのエピソードを本編で入れるわけにはいかず、まさにファンディスクだからこそできたエピソード。実は航の合わせ石の相手は茜だったというおいしいネタを上手く料理している。(以上ネタバレ終わり)お見事。

「カトレア記念日」「脱カトレア記念日」

「カトレア記念日」は『パルフェ』本編のあのイベントの後、こんなふうだったのかとわかって楽しい。玲愛の声が別人かと思うくらい違和感があったが、「脱カトレア記念日」まで進めているうちに慣れた。「脱カトレア記念日」は玲愛ルートの総まとめみたいなものか。ファミーユのメンバーもキュリオのメンバーもそれぞれ出番があって良かった。由飛のことも上手くフォローしていたし(玲愛ルートでも無事もと通りピアノが弾けるようになったのね)。そして里伽子についてもある意味残酷なくらいはっきり触れてしまったなあ。やはり里伽子は里伽子ルート以外では去ってしまっているのか……。この話を終えてからでないと「里伽子抄」ができないようにしてくれた判断には感謝したい。「里伽子抄」の後だと、とても話を最後まで終えることはできなかっただろう……。里伽子の祝電を読み上げるときのかすりさんの声の演技が非常にお見事だった。さりげに仁の部屋にどてらが置いてあったのも良かったなあ。「カトレア記念日」も「脱カトレア記念日」もストーリー的には特別すごいっていうような内容じゃないけど、やはりこういう温かくて幸せな感じがこの作品の良さだよなあとしみじみ感じられるような内容だった。

「里伽子抄」

本編里伽子ルートの正統派の続きで「里伽子ショートストーリー」というか「里伽子最終章」といった感じ。正直本編でやっていたことのくりかえしと言ってしまえばそれまでだし、あいかわらず問題解決の手段がストレートな説得だけに頼り過ぎで爽快感はいまいち足りないのだけど、仲間とのつながりを重視したいかにもこの作品らしい話だった。最後に流す曲は話の流れからいって『Leaf ticket』よりも『つまんない恋』の方が良かったのではないかと。

「この冬空に歌声を―」

この青空に約束を―』総まとめルートといった感じ。『この青空に約束を―』はエロゲーであるため後半は各ヒロインの個別ルートになるのだけど、やはりみんなそろっているのが本来のスタイルなんだよなあ。話の中身的にはどうってことのない内容なんだけど本編の空気が感じられて懐かしい。

「陽だまりのヴァージンロード」

 評判がいいようだったし、『この青空に約束を―』作品の中では最後に出てくる作品なのでどれほどのものかと思っていたのだけど、悪くはないがそれほど特別すごく良いっていうような内容でもなかったな。ただ、ストレートな愛情表現や感謝の気持ち、前向きさはいかにもこの作品らしいと思えて、このシナリオを書いた人はこの作品の方向性がよくわかっているなあと感心。別のシナリオライターさんが書いたはずなのに、これだけオリジナルに近い作品が書けるのもめずらしいんじゃないだろうか。

まとめ

 どうしようもなくつまらない作品もあったけど、反面、これはすごいとうならされたシナリオもあったし、何よりもなんだかんだでやはり自分は『パルフェ』や『この青空に約束を―』という作品がすごく好きなんだと改めて思い知らされたファンディスクだった。