天竺熱風録

天竺熱風録 (ノン・ノベル)

天竺熱風録 (ノン・ノベル)

「その知略にインドが震え懼れた」と帯にはあるけど、知略によって快勝を収めるのは後半になってからで前半は異国への旅の冒険ものといった感じ。どちらかというと前半の方が楽しめたな。戦いになると良くも悪くもいつものこの作者の作風といった感じで新鮮味が薄れてしまったし。武官でなく文官である主人公が異国の地で異国の兵を率いて大軍を破ったというのは素直に凄いと思うのだが、なんというかちょっと一工夫しただけであっさり勝ってしまうからそんなに凄いことを成し遂げたように見えないというか。読みやすいのはいいのだけど淡々と描かれているので盛り上がりに欠けていて一長一短な印象だった。まあ、あれやこれやのウンチクは面白かったし、なんだかんだで全体としては楽しめた作品だったが。