疾走する思春期のパラベラム

疾走する思春期のパラベラム (ファミ通文庫)

疾走する思春期のパラベラム (ファミ通文庫)

銃とトラウマ持ちの登場人物たちと映画とレズといういかにもこの作者らしい要素のつまった作品。しいていえば腹筋が足りないか?(笑) 不運続きの主人公が特別な力や仲間を手に入れるまでがやたらと早いな。『ヤングガン』もそうだけど、文章が淡々としているというかあまり深く描かないで浅くサラッと描いている感じというか。おかげで読みやすいといえば読みやすいのだけど歯ごたえがないようにも感じる。『ヤングガン』の塵八と違ってこちらの主人公は銃や戦うことに不慣れなのがちょっと新鮮な感じ。能力を発揮すると超人的な運動能力を獲得してしまうせいか、銃撃戦はいまいち迫力に乏しい印象。特殊能力バトルと銃という組み合わせは相性が悪い気が。終盤敵の能力によってピンチに陥ったけど、それに対抗できる能力を仲間が持っていたというのはご都合主義に感じられてしまったのでもう少し工夫がほしかったところ。未解決の謎がいろいろ残っているのだけど、あとがきから察するにシリーズが続けられるかどうかは人気次第なのかな。