銀月のソルトレージュ ひとつめの虚言

富士見ミステリー文庫の方で出していた『魔法遣いに大切なこと』がアニメ版よりも原作の漫画版よりもよくできたノベライズ作品ということで注目を集めた枯野瑛さんの新作。評判を聞きながらも結局なんとなく手を出さないままだったのでこの作者さんの作品を読むのはこれがはじめて。一言で言ってしまえば魔法使いバトルもの(「魔法使い」を「能力者」に置き換えてもOK)。単純に話の筋だけを見ればいかにもライトノベルらしい王道のストーリーだが、文章が読みやすく、各登場人物とも魅力的で、登場人物同士のやりとりも面白く、魔法に関する設定も好みで、これは久々に大当たりかと思ったが、終盤の展開があまりに型通り過ぎて(いろいろ規格外の主人公が追いつめられて強力な力に目覚めてそれをいきなり使いこなし大逆転。その力も万能過ぎてちょっとなあ……)少々失速。でも十分楽しめたし良作と言っていい作品かと。切る時は容赦なく切る富士見ファンタジアで始まったシリーズだがなんとかして今後も続いてほしいところ。