空の中

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空の中

瞬と佳江の高校生の男女と、航空自衛隊の光稀と事故調査員に選ばれた高巳の四人が主な登場人物。中でも事態の中心近くにいて能動的に動いている高巳が一番主人公っぽいかな。この作者さんの作品を読むのはこれが初めてで、ハードカバーということもあってとっつきにくいんじゃないかというイメージもあったのだけど、いざ読んでみると全然問題なくてとても満足のいく話だった。でも瞬や真帆の戻れない道を進んでいく様子は痛々しくてつらかったな(最終的にこのふたりに救いがあって本当に良かった)。あとがきによると作者さんとしては「怪獣物と青春物足しっぱなして空自で和えてる」という感じで、実際その通りの内容なんだけど、読んでいる時はなんとなく「戻れない道」と「孤独」がテーマの作品なのかなと思ったし(瞬、佳江、真帆の取り返しのつかない選択。瞬、フェイク、真帆の孤独)。高巳さんが頑張る姿はなんとなく小川一水さんの作風と似ているような気がした。