『十二国記 図南の翼』五章より

「その通りだね。けれどもそれが王を欲する世界の理屈なんだよ。――そして、王はその世界を制するがゆえに、その理屈を踏み越えねばならない」
「……は?」
「だからね、それは王に支配される者――臣下の理屈なんだよ。そして玉座に就く者は、臣下であってはいけない。王だから玉座に就くのであって、玉座に就いた臣下を王と呼ぶのではないのだから。ゆえに王は臣下の理屈を超越せねばならない」

図南の翼 十二国記 (講談社X文庫)

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